story3. シャリアピン
おもてなしのエピソードから80年、今も受け継がれる玉ねぎのメニュー
新年度になり花粉症とたたかいながらの慌ただしい日々。「たまにはねぎらってほしいナ!」、なーんて一人ぶつぶつつぶやきながら食材選び。スーパーの店頭に並ぶ新鮮な春野菜たちに元気をもらいつつ今日のセレクトは、新タマネギ。
もう食べましたか?
みずみずしくてシャキシャキ、果肉はやわらかくて甘味があり、辛味が少ないのでサラダなどの生食に適している新タマネギ。スライスした赤いトマトと一緒にお好みのドレッシングで、カツオのタタキに山盛りのっけてポン酢で。爽やかさがお口の中に広がる春の食感、新タマネギは、この季節だけのぜいたくかもしれませんね。
みずみずしくてシャキシャキ、果肉はやわらかくて甘味があり、辛味が少ないのでサラダなどの生食に適している新タマネギ。スライスした赤いトマトと一緒にお好みのドレッシングで、カツオのタタキに山盛りのっけてポン酢で。爽やかさがお口の中に広がる春の食感、新タマネギは、この季節だけのぜいたくかもしれませんね。
ということで、カツ丼、牛丼、親子丼、カレーにシチュー・・・、さまざまなお料理になくてはならない名脇役タマネギ、調べてみました。
タマネギの学名「Allium cepa L.」のcepaは、ケルト語の「頭」から、日本では終戦の昭和20年までは、「葱頭」が標準和名とされていたそうです。英名のOnion(オニオン)は、ラテン語のUnio(ユニオ)からきているもので真珠という意味です。畑の真珠、まさに神秘的なパワーを感じるタマネギは、高血圧予防、心筋梗塞予防、脳梗塞予防、動脈硬化予防、そして、刺激成分である「硫化アリル」の一種「アリシン」は、血液をサラサラにしてくれる働きがあり、血栓の予防に効果があるんですって。そしてこのアリシン、特に豚肉などに含まれているビタミンB1と結合してアリナミンになるんですよ!
そろそろいろいろ心配な身体には、美味しくて嬉しいスペシャルなお野菜ですね。
そろそろいろいろ心配な身体には、美味しくて嬉しいスペシャルなお野菜ですね。
タマネギの原産は中央アジアで、紀元前のエジプト王朝時代には、ピラミッド建設の様子を記録したレリーフに描かれた人夫たちが腰にニンニクとタマネギをぶらさげています。重労働に耐えるための貴重な強壮剤として活用されていたんですね。古代ギリシャではオリンピック競技への出場を目指す選手たちに、古代ローマの剣闘士はタマネギの汁でマッサージ、そして古代ローマ軍の兵士にとっては、敵と戦う力と勇気を高めるための軍事上も有用な食材だったらしいです。アメリカ南北戦争時代にタマネギの汁は銃によって負った傷の治療に用いられていて、北軍のグラント将軍はタマネギがなくなった時に、ワシントンの陸軍省に「タマネギがない限り私の隊は動かさない」と怒りのメモを送ったといいます。
タマネギは、ニンニク、エシャロット、ラッキョウなどと同じネギ属の一種。歴史的に悪霊や吸血鬼、ヘビ、トラ、ペスト、風邪にいたるまであらゆるものを撃退すると信じられてきたネギ属の植物は、闘うことと関係が深いようです。
日本では江戸時代に南蛮船によって長崎に伝わっていましたが観賞用にとどまっていました。食用としては1871年(明治4年)に札幌で試験栽培されたのが最初で、導入当初は外来野菜ということで馴染みが少なく、なかなか普及しませんでしたが、明治初期に関西地方でコレラが発生し「タマネギはコレラに効き目があるらしい」という噂が広がり、薬用野菜として普及していきました。食べてみると日本人にとって昔から慣れ親しんできたネギと味わいが似通っていたため、明治以降の食生活の洋風化や肉食の普及とともに今ではすっかり日本土着の野菜になったということです。
それにしても、こんなに魅力的なお野菜なのに、日本の精進料理には使われません。精進料理は、仏教の戒律に基づき殺生や煩悩への刺激を避けることを主眼とした料理で、三厭五葷(さんえんごくん)といって、第一に三厭(肉・鳥・魚)の動物性の食材、第二に五葷(にんにく・ねぎ・にら・らきょう・たまねぎ)は、避けるべき食材とされているんですって。動物性の食材がダメなのは知っていました。お野菜はみんないいのかなって思ってましたが、そういえばネギ属の野菜は精進料理には使われていませんね。時代や地域によって何を五葷とするかは異なるようですが、現在の曹洞宗永平寺の決まりでは、こうなってるみたいですよ。
この近辺ですと、栃木市の出流山満願寺や鹿沼市にある古峯神社でお蕎麦と精進料理をいただいたことを思い出しました。とうぜん雰囲気もあるのでしょうが、背筋がピンとして、子供たちと一緒に「食」を考える良い時間だったように記憶しています。
この近辺ですと、栃木市の出流山満願寺や鹿沼市にある古峯神社でお蕎麦と精進料理をいただいたことを思い出しました。とうぜん雰囲気もあるのでしょうが、背筋がピンとして、子供たちと一緒に「食」を考える良い時間だったように記憶しています。
タマネギについていろいろ調べてみたので、まだまだ書きたいこといっぱいあるのですが、とにかく私たちのカラダにとって素晴しい効果効能がありすぎなんです。
新玉ねぎも玉ねぎも栄養素に違いはないようですが、タマネギに含まれている成分としてさまざまな効果のある、あの涙の原因ともなる刺激成分「硫化アリル」は、水溶性成分のため水にさらすと流れ出てしまい、加熱しても成分が失われてしまいます。この時季に辛味の少ない新玉ねぎを生でいっぱい食べてちゃいましょう!
とはいっても「玉ねぎ料理にチャレンジしたいな!何にしようかな?」
「そうだ、シャリアピンステーキ!」 新玉ねぎではないのですが・・・
「そうだ、シャリアピンステーキ!」 新玉ねぎではないのですが・・・
あの透き通った飴色の玉ねぎを纏った懐かしい味。シャリアピンステーキといえば、帝国ホテル地下の「ラ ブラスリー」。戦前の1936年(昭和10年)ロシア出身で晩年をパリで過ごしたオペラ歌手のフョードル・イワノヴィッチ・シャリアピンが公演で帝国ホテルに滞在した際、大好きなステーキを食べたいのに、歯が痛くて食べられない。「やわらかい肉を食べたい」とのリクエストに応えて考案され生まれた帝国ホテルのシャリアピンステーキが、日本中に普及したそうです。厳選された玉ねぎを事前に手ですりおろし、肉を漬け込んで柔らかく、水分が多すぎて甘味の強い新玉ねぎは使わないそうです。薄く叩いた牛肉を焼き、玉ねぎのソテーがたっぷり載せられたステーキは、焼けた肉の香ばしさと玉ねぎの甘味が絶妙に混ざり合う逸品とのこと。
さて、私はというと、叩いて塩・胡椒した牛肉をすりおろした玉ねぎに漬け込んで1時間、玉ねぎは細かく切ってソテー用を準備、お肉を程よく焼いて、玉ねぎをバターでソテー、赤ワインとちょっぴりお醤油も加えて、飴色いい感じ。新玉ねぎのトマトサラダとともに。なかなかにできましたよ!ビールがおいしかったナー!
さて、私はというと、叩いて塩・胡椒した牛肉をすりおろした玉ねぎに漬け込んで1時間、玉ねぎは細かく切ってソテー用を準備、お肉を程よく焼いて、玉ねぎをバターでソテー、赤ワインとちょっぴりお醤油も加えて、飴色いい感じ。新玉ねぎのトマトサラダとともに。なかなかにできましたよ!ビールがおいしかったナー!
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